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第317話

「目ぇ覚めたら…斗真がいなかったから… やっぱアレが嫌で逃げ出しちゃったのかと…」 「はぁ?俺がそんな男だと思ってんの? …心外だな… よし。 俺がシャワー浴びてる間に、それ、カゴに入れとけっ! いいなっ!?」 ぽかんと口の空いた希にそう言い残し、バスルームへ直行。 覚悟を決めた俺は潔いんだぜ? 頭からシャワーを浴びて、繋がる部分はいつものように念入りに解しておく。 準備万端、身体も心も準備を整えて、ドアを開けると…はあっ…鎮座()します白のレースのついたメイド服っ! 横にちょこんと耳のついたカチューシャとふさふさの尻尾が見える。 バスタオルでわしゃわしゃと濡れた身体を念入りに拭き取り、服を広げた。 うわぁ…サイズでかっ。これは、俺でも十分着れるよ… 胸元のひらひらのレースが似合わない感満載。 前開きだな…わざわざ着やすいように外してやがる…策士め。 鏡にちらりと写る自分を直視しないように、ボタンを留めていく。 後ろ手でリボンを蝶々結びにして… カチューシャを頭に付ける。 尻尾は? ん?根元が…まさかのバイブ? これは…手に持って行こう… 思い切って鏡を見た。 うへぇ…萎える… 凹んだ気持ちでドアを開けると、待ち構えていた希が飛んで来た。 「あぁ…斗真…思ってた通り、何てかわいいんだ…」 おい、希…そんなキラキラの目で見るなよ… 「…あれ?斗真…尻尾は?」 うわっ…きた… 「付け方わかんねぇーから。」 「俺がしてあげる!」 いやいや、いらねーよ。 素早く俺の手からもふもふの尻尾を奪うと、手を引っ張って寝室へ引き摺られるようにして連れて行かれた。

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