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第319話

指よりも柔らかく少し太めのそれは、すんなりと俺の中を進んでいく。 これで何するつもりだ?どこまで俺を追い詰める気だ? 「ほら、全部入ったよ。 今から斗真は俺のペットだから…たくさん啼いていいからね?」 そう言うと、希は俺にキスをしてきた。 横を向いたままの口付けは、何とももどかしい。 その時 ブーンという機械音と後孔から身体の中にかけてダイレクトな振動が起こった。 「うわっ!何?これ、何っ? 希?これ、嫌だ!止めてくれ!バイブは嫌だっ!」 俺の脳裏に、再開した後 散々いたぶられた時に使われたバイブの感触が蘇ってきた。 まるであの時の感情がフラッシュバックするように、身体が震え、機械でイかされた時の妙な昂りと、相反する心の冷えが身体を支配し始めた。 ぽろぽろ涙を流し、身体を硬直させる俺を不審に思ったのか、希がスイッチを切った。 「斗真?」 俺は一言も発することができない。 ただ身体を丸め、両腕で自らを抱きしめ、声もなく泣き続けるだけ。 「斗真?」 ずるりと無機質なモノが体内から出ていった。 ホッとすると同時にぼんやりと、壊れかけていたあの頃の俺を思い出していた。 「斗真、ごめん…調子に乗った…大丈夫か?」 俺を抱き起こし横抱きにすると、汗で濡れた髪をかきあげ額にキスをしてきた。 呼吸をするのも忘れていた。 慌ててむせながら大きく息を吐き、落ち着くまで目を閉じる。 そんな俺の様子にただならぬ物を感じたのか、希は、ずっと俺の身体を摩ってくれていた。 そして、ハッと気付いたように 「…斗真…ひょっとして、()()()のセックスのトラウマか?」 「…ん、多分…バイブは…嫌だ。」

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