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第320話
「俺は…俺は、何てことを…すまない、斗真…お前の気持ちも考えずに…ごめん、ごめんな…」
俺を抱きしめ、希が何度も何度も繰り返し謝ってくる。
「いいよ、もう。俺もすっかり忘れてたんだ。
ただ、それを入れられた途端、あの時のことが頭をよぎって…」
「斗真…俺、俺…」
「希、もう、いいって。いいんだ。
今、こうしてお前にきちんと愛されてるから。
それとも…俺のこと、面倒くさいって嫌になったのか?」
「そんなこと、ある訳ないだろっ?
俺は、斗真を…どんな斗真でも愛しているんだ!
斗真…お前をきちんと愛させてくれ…お願い…」
「バイブはごめんだよ。」
「わかってる。」
バイブを放り投げ、俺にそっと被さってきた希は、俺をじっと見つめている。
その瞳の奥には、愛おしい光が揺らめいていた。
コイツ、俺のことそんなに好きなのか?
俺だって、お前に負けないくらい大好きだよ。
あれ?
唇を通過して、頭にキス。
髪の毛を滑るように何カ所かに唇が落ちてきて、おでこに二カ所。
鼻筋を通り、右、左と瞼にキス。
目頭、目尻と続けざまにキスされ、両頬に。
やっと唇かと思えば、焦らすように飛ばして顎。
そのまま、喉元は舌を這わされ、いつの間にか脱がされた胸元に浮き出た鎖骨を噛み付くようにキスされた。
「…希?何であちこちにキスしてんの?何で唇にキスしない?」
「ふふっ…いろんな意味を込めてキスしてるから…唇は最後のお楽しみ…」
妖しげな微笑みの希は、最高にエロくて綺麗で…その含んだ物の言い方で、身体中総毛立った。
鎖骨から真下へ舌を這わせ、乳首に吸い付いて散々責め立てて、それだけで俺を息絶え絶えにした希は、満足気にへそ周りを舐めると、肩から指先まで一気に唇を添わせ指先にキスをする。
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