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第321話
その頃には俺は、メイド服の前のボタンを全部外され、半裸になっていた。
優しく時に激しく、身体の上部から順番にキスをされて、俺は戸惑っていた。
希が確かに意思を持って、身体の部位を一つずつ確かめるようにキスをしているのだ。
そして、必ず顔以外のその場所に赤い印を残していく。
そう言えば、キスする場所で、その意味が違ってるらしい。
銀行の待ち時間に手に取った雑誌で読んだ覚えがある。
このまま進んでいくと、足の先まで希はキスをしていくのだろうか。
そんなことを考えていると、希の動きが止まった。
脛 をひと舐めして…キス。
踵を持ち上げ、俺を見つめる。
恭しく目の高さまで掲げた足の指を一本ずつ舐め上げながらのキス。
指の又まで舌を這わされて、背中がぞくりとした。
そして、俺の目を見つめながら…足の甲に、何度もキス…
ちゅっ…ちゅ…ちゅ…じゅっ
しつこいくらいにキスをして…最後にキツく吸い付いて、ふっと微笑む希。
あぁ…確か、足の甲へのキスは…
『隷属』…
希、お前…俺に、一生支配されるつもりなのか?
俺の戸惑いに気付いたのか、ふわりと微笑んだ希は、身体を上に移動してきて、耳朶に吸い付いた。
びくりと身体が跳ねる。
耳はおれの弱い部分の一つだ。
ぺろぺろ ちゅるちゅる と、いやらしい水音が鼓膜を突き抜けて脳内に響く。
知らず知らず、動き始める腰を理性が必死で宥めている。
心臓は爆発しそうにドクドクと暴れて、血液は逆流しそうに全身を巡っている。
酸素を求めて、はぁはぁと息を荒げる俺を 希はなおも責め立てる。
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