325 / 1000
第325話
希はぶるっと震え、最後に強く腰を振ると満足したのか、ゆっくりと楔を引き抜く。
ぐちゅっ と音を立てて抜かれていくそれを引き止めるように俺の内壁が後を追った。
空っぽになっていく肉筒。
「あっ…」
焦燥感が声色に出たのか、希がふっと微笑むと俺にキスをして、半身を俺の身体に絡めた。
どくどくと弾む心臓の音はどちらのものかわからない。
俺達は荒げた息が整うまで、じっと身体を絡めたまま、無言で寄り添っていた。
しばらくして
「…斗真…」
「…うん…」
「心から…愛してるよ」
「うん。」
「一生、お前から離れないし離さない。
何度でも言うよ…愛してる。」
「…俺も…愛してる。希だけ…希だけを…」
「…斗真…」
ふわりと覆いかぶさってくる愛おしい男の重みを受け止める。
腕を回して、その温もりを抱きしめた。
汗で湿った肌からは、雄の匂いがする。
胸一杯にその匂いを吸い込んで、ほおっと息をついた。
何度肌を重ねても、何度中を埋められても、満たされない狂おしい想い。
後どのくらい抱かれたら、この隙間はなくなるのだろうか。
「斗真…」
希が俺の目尻にキスをして、涙を吸い取った。
俺、泣いてた?
「すまない…痛かったか?」
「…違う…お前を想うほどに、抱かれる度に…
狂おしい想いが埋まらない…
こんなに、こんなに愛してるのに…」
希は俺にキスをすると、何でもないことのように言った。
「それは、お前が俺のことを想う気持ちが日毎に増しているから、埋まることがないんだ。
だから、無限大なんだよ。それは、俺も同じ。
毎日毎日、お前に恋して焦がれて…愛おしさが募っていく。
俺だって…この想いは埋まることはないんだ。」
ともだちにシェアしよう!