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第326話
希…俺達、同じこと思ってたんだな…
胸が詰まって希を抱く手に力を込める。
「希…希っ…」
「斗真…」
ただ名前を呼ぶだけで、お互いの想いが伝わるような気がする。
俺は、希から送られる優しいキスを受けながら、重くなる瞼を引き上げることもできずにゆっくりと落ちていった。
ん…頬を撫でる感触…擽ったい…
唇に…柔らかいものが当たる…
ゆっくりと浮上する意識。
「おはよう、斗真。」
目の前に愛おしい男が笑っている。
「…おはよう、希。」
何の予定もない休日の朝。
散々睦み合った後の気怠さと、淫猥な空気がまだ残る部屋で、裸のまま布団にくるまっている。
ベタベタに汚れたはずの身体もシーツも、すっかり清められ、希がいつものように後始末をしてくれているのだとわかる。
「寝顔がかわいくてさ…ついつい構いたくなって…ごめん、起こした。」
「…うん…後始末してくれてありがと。」
「朝ご飯もできてるよ。食べる?」
「あぁ…うっ…痛っ」
「斗真っ!?」
腰がズキズキする。
あー…夕べヤり過ぎた…
「うっ…腰…痛い…」
「ごっ、ごめん、斗真…俺、またやらかしたか…
激し過ぎたよな、ごめん…悪かった…」
あーぁ、耳が垂れたぞ、大型犬。
くしゅんと項垂れた希の頬を撫で
「ばーか。俺がしてほしかったんだから、いいんだよ。
気にするな。
だけど明日、動けるかな…」
「大丈夫!姫抱きで出勤するからっ!」
「ばーか…それ、よっぽど恥ずかしいだろうが…
悪いけど、今日は一日横になってるぞ。」
「俺、何でもするから…」
涙目の駄犬を手招きしてキスをしてやった。
希のテンションの復活ぶりは見事だった…
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