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第327話
翌日から、まだ痛む腰を摩りながら何とか仕事に就いた俺は…あぁ、俺だけでなく希も、相変わらずの忙しさに戻った。
まったりとする時間もなく深夜近くに帰宅すると、キスを交わし抱きしめ合って寝落ちするだけの毎日を送り、お互いが不足で悶々としたまま迎えた挙式当日…
「おはよう、希。」
「おはよう、斗真。とうとう今日になっちゃったな。
何だか今から緊張して…プレゼンより心臓がヤバい。
こんなの初めてだ。」
「お前がか?緊張する希なんて見たことない。
レアなもの見せてもらったな、ふふっ。
まぁ、そう言う俺だってめっちゃ緊張してる。見ろよ、この汗。
…今からこんなんじゃ、式で卒倒しそうだよ…とにかくシャワー浴びてくる。」
「うん。俺はもう済ませたから…
朝ご飯、軽くパンにしたから待ってる。」
「ありがとう。すぐ浴びてくるよ。」
汗を流してさっぱりと小綺麗になった俺は、希が準備してくれていた朝食を平らげて、式場へと向かった。
「なぁ、今日リングガールをしてくれる子ってどんな女の子なんだろうな。
遥さんの話じゃ、随分としっかりした子らしいけど。」
「うん、結婚式を挙げたばかりの親代わりのカップルを新婚旅行に送り出すなんて…やるなぁ。
きっと俺達の式も完璧にフォローしてくれるんじゃないか?」
「そうだな。それに、ティアラも喜んでくれたらいいんだけど。」
「うん。控え室で顔合わせだって言ってたから…すぐに会えるさ。」
そんな会話をしながら、約束の時間10分前には辿り着いた。
「お待ちしてました!本日は誠におめでとうございます!
さあ、こちらへ!」
華やかな笑顔の遥さんに迎えられ、控え室へと案内された。
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