330 / 1000
第330話
「えっ?ありがとうございますっ!
あけてもいいですか?」
「うん、どうぞ。」
しゅるりとリボンを解いて、蓋を開けた瞬間
「うわぁーーー!すてきぃーー!
これ、りんに?うれしいっ!
ありがとうございますっ!
はるかさん、これ、つけていいですか?」
遥さんが満面の笑顔で
「もちろん!こっちにおいで!せっかくだから、いただいたものと交換しよう。」
と、俺達がプレゼントしたティアラにセットし直してくれた。
凛ちゃんは、鏡の前で右を見たり左を見たり、くるりと回ってみたり。
喜んでくれているのが手に取るようにわかる。
俺達はその様子を見ながら、顔を見合わせて頷いていた。
散々チェックし終えて満足したのか、凛ちゃんは
「うれしいです!ありがとうございます!
りん、ころばないようにしっかりつとめさせていただきますっ!」
と言うもんだから、俺達も
「はい、どうぞよろしく!」
とハイタッチすると
「うふふっ!たのしみですね!」
と返してくれた。
物怖じしない屈託のない笑顔に、肩に力が入っていた俺達もいい具合に力が抜けていった。
遥さんが俺達のタキシードの襟元や、髪の毛のスタイリングまできっちりと手直ししてくれた。
「さて…そろそろお時間です。
指輪をお預かりしてよろしいでしょうか?
教会への入場までは、私が運ばせていただきます。
その先はこのキュートなリングガールにお任せします。
凛ちゃん、頼んだよ。」
「はいっ!」
さあ、いよいよだ。
希がそっと俺の右手に指を絡ませてきた。
俺も抗うことなくその指を受け入れ“恋人繋ぎ”にすると、希がうれしそうに喉を鳴らして笑った。
ともだちにシェアしよう!