333 / 1000

第333話

隼人さんの号令で、バラの花びらが振り撒かれる。 歩みを進める毎に、口々に祝福の言葉を投げかけられた。 「おめでとうございます!」 「お幸せにっ!」 「congratulations!」 希はハイタッチで、俺は会釈しながらその祝福に応えていく。 俺達は、舞い踊る花びらを被るように歩を進め、顔を見合わせると一旦立ち止まって振り返り 「「ありがとうございましたっ!」」 と参加してくれたスタッフさん達に深々と一礼した。 感動冷めやらぬまま控え室に戻ると、希に思いっ切り抱きしめられた。 「斗真…斗真っ…」 俺も思いの丈を込めて抱きしめ返す。 「希…ありがとう…」 と、そこへノックの音がした。 見つめ合いながら身体を離し希が答えた。 「はい、どうぞ。」 そこには遥さんに連れられた凛ちゃんがいた。 「ほんじつは、おめでとうございました。 どうぞ すえながくおしあわせに!」 「凛ちゃん! 本当にどうもありがとう! お陰で無事に式を終えることができたよ。」 「本当にありがとう。 うちの会社の秘書にならないか? ボスもきっと凛ちゃんのこと、気に入るよ!」 「うーん…りん、けいびがいしゃにも すかうとされてるんです。 おおきくなったらかんがえさせてください。」 「彼女を獲得するにはかなりの倍率なんだな…希、争奪戦覚悟しておけよ!」 一緒にいた遥さんやスタッフさんも大笑いしている。 「優秀ですからね、私も狙ってますよ。」 遥さんの言葉に 「うわぁ…りん、こまっちゃう! こんまりさーん!りん、どうしよう!?」 “こんまりさん”と呼ばれたスタッフさんが 「もう少し大きくなってから考えましょうね。」 と言う台詞に、また大笑いした。

ともだちにシェアしよう!