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第335話

ほんの数十分前まで、異空間のようなあの場所で。 煌めく光の中で、俺達は認められた… 駐車場に着く頃、やっと泣き止んだ俺は、涙目のまま希に手を引かれ、エレベーターに乗り込んだ。 無言のまま優しく手を繋がれて、誰かに見られたらどうしよう とか、防犯カメラで映ってんのに とか、ちらりと頭をよぎったが、大人しくされるがままになっていた。 想いのこもったブーケを抱え込む俺を希がエスコートして部屋に入れてくれた。 「俺の奥様、さあどうぞ!」 清々しい笑顔で招き入れる愛する旦那に 「ありがとう」 と鼻声で答える俺は、何だか間抜けだ。 早速ブーケをバラして花瓶に生け替えると、部屋の中が一気に華やかになった。 「斗真、疲れただろ?シャワー浴びてこいよ。 その間に何か作っとくから… 夜は豪勢にするから、昼は簡単に済ませるぞ!」 「うん。ありがとう。 じゃあ今日は甘えるよ。」 犬のように わしゃわしゃと髪の毛を撫で回されて、ボサボサになった俺は希を軽く睨んでから、バスルームへ向かおうとしたが、ふと遥さんからのプレゼントを思い出した。 あれ、何だったんだろう? 喜ぶ?…特に旦那様が? ?マークで一杯になりながら、カバンから例のラッピングされた袋を取り出し、洗面所で開けてみた。 「これ、何だろう?」 そこには、きちんと畳まれた白いレースの布が… ハンカチ?いや、違う。 まさか… ビニールの袋から取り出し、広げると… 「うわっ!…Tバックの…」 そう、男性用下着。 それも、すっげぇセクシーなやつ。 遥さん…マジですか… コレを俺に着けろと…

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