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第352話

名残惜しげに離れる唇には、濃密な銀の糸が繋がり、ぽたりと落ちた。 二人とも、はあはあと息を荒げて見つめ合う。 繋がりを解かぬ格好で、俺の腹の中は蠢きながら じわじわと希を締め付け、希もそれに反応してか、ぴくぴくと動いていた。 ゆっくりと希が動き始めた。 吸い付いた襞が離れるのを拒否するように熱い楔を追いかけていく。 外まで引きずり出されるような感覚に、ぞわりと鳥肌が立った。 カリ首を引っ掛けるように残して、また俺の中に入ってくる。 それを何度も繰り返された。 ゆっくりと、ゆっくりと… もどかしさに焦れて、自分からも腰を擦り付ける俺に 「斗真、もっとほしいか?」 と意地悪そうに尋ねられ 「ばっ、ばかっ!そんなこと聞くなよっ!」 処女(おとめ)のように顔を真っ赤にして狼狽えてしまった。 「ふふっ…恥じらう斗真、堪らないなぁ。 それなのに腰擦り付けちゃって… じゃあ、遠慮はしない。」 雄の顔をした希が、反動をつけて俺の身体を起こした。 「ひうっ」 対面座位にされ、自重で奥深く希が打ち込まれた。 脳天を突き抜けるような快感に襲われ、息をするのも忘れていた。 根元までぎっちりと埋め込まれ、さっきよりも大きさを増した希自身が、その熱を解放したいのか、中でぴくぴく跳ねている。 陸に上げられた魚のように、はふはふと空気の入っていかない呼吸を繰り返す俺の背中を希がゆっくりと摩ってくれた。 「ほら、斗真…吸って…吐いて…も一度吸って…吐いて…」 優しい声音と温かな手の平が、俺の呼吸を戻していく。 はあっ…と大きく息をして肺が空気で満たされた。 咳き込むと入口がキュッキュッと締まるのか、希が切なげな声で懇願する。 「ちょっ…斗真ぁ…」

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