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第354話

引っ切り無しに続く下半身へのダイレクトな痺れは、全身に到達する頃には麻痺してしまい、ただ快楽の海へと俺を連れて行く。 口から溢れるのは甘く、やや高いトーンの嬌声。 これは俺の声か? 俺もイイところを掠めるように腰を擦り付け跳ねる。 いつもと違う俺の乱れっぷりに、希もノってきているのがわかる。 あらゆる角度から責め立て、俺が一番感じるところを更に探っているようだった。 奥へ、更に奥へ、希の楔が入り込んでくる。 ダメだ、それ以上はムリだ…でも、気持ちイイ…希しか、希だけが入れる場所… 身体の中も外も軽い痙攣が起こり、抽挿する楔を絶妙な強さで締め付けている。 与えられる快楽と、自らが求める快楽の狭間で、心も身体も蕩けていく… このまま、この男の腕の中で溶けてなくなってもいい。 あぁ、でもそうなったら、コイツはすぐに後を追ってくるだろう… もう少し…もう少しこの快楽の中に浸りたい… だが、昂ぶる射精感は堪えようがない。 「希…あぁっ…俺、もう、イきたいっ」 「ふうっ…斗真…斗真…」 掠れた声で俺の名を呼ぶ男…希…俺の唯一の… 「斗真…俺も…一緒にイこう…」 その時、希がズクンと一際大きくスライドして入り込んだ。 「あぁーーーっ!!」「くっっ!!」 今まで入り込んだことのない最奥まで希が入り込み、同時に射精したのか温かなものに満たされていく。 俺自身も白濁の液を希との間に撒き散らし、目を瞑り身体を震わせていた。 二人の荒ぶる息遣いが部屋に響く。 どくどくと伝わる、跳ねる心音はどちらのものかわからない。 ただひたすらに慈しむように抱き合ったまま、呼吸が落ち着くまでじっとしていた。

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