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第356話

ん…擽ったい…誰だよ…気持ちよく寝てるんだから…邪魔するなよ… 髪を梳かれ、頬を撫でる擽ったさに、ゆっくりと意識が浮上する。 目を瞬かせ、次第に焦点が合ってくる。 微笑んで至近距離に陣取る男の頬をむにむにと抓ってやった。 「痛いよ…斗真、おはよう。」 「…おはよう、希。何ちょっかいかけてんだよ。 せっかくいい気持ちで寝てたのに。」 声も少し掠れている。 「ふふっ、ごめん、ごめん。 だって、斗真の寝顔があまりにかわいくってさ。 触りたくて堪んなかったんだよ。」 寝返りを打とうとして思わず悲鳴を上げた。 「痛たたたっ!いってぇー………腰、砕けた…」 「うえっ!?斗真、大丈夫かっ!?」 痛たた…と腰を抑えながら、ゆっくりと反転して俯せた。 「…ふうっ…夕べ、ちょっと激しすぎたよな…俺も調子に乗ったし…まぁ、大丈夫だろ。 なぁ、湿布貼ってくれよ。」 わかった と布団を抜け出して、すぐに希が戻ってきた。 甲斐甲斐しく湿布を貼ると、アイ◯ノンを腰に当ててくれた。 「後始末…してくれたんだな…ありがとう、希。」 夕べの情事は…思い出しても身体が火照る。 冷静になると、小っ恥ずかしくて希の顔もまともに見れない。 真っ赤になった顔を逸らしてお礼を言った。 「どういたしまして。加減できなくてごめん。 でも…乱れるお前が愛おしくてかわいくって…自制できなかった。 もう…斗真、俺を上手く誘い過ぎ。なぁ、またアノ下着、着けてくれよ。アレ、最高! 理性砕け散って、どっかへ行っちゃったよ。」 「んなこと言われたって…お前こそ…オトコ丸出しで、フェロモン全開でさ… アレ、嫌じゃなかったのか?」

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