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第362話
希と手を繋いだまま お袋を見ると、ドヤ顔で笑っていた。
思わず希の耳元でささやいた。
「お袋がいろいろと勝手なことしてごめん。
埋め合わせは何でもするから…」
「こんな勝手なことなら大歓迎さ。
ホントにお前のお袋さんには頭が上がらないよ…」
「希君、斗真君、おめでとうございます!
嫁のジェシカです!
こちらは長男のダニエル、次男のマイク、長女のミリヤ。
みんな日本語話せますから…
連絡もせず押しかけてごめんなさい。
今後ともよろしくお願い致します。」
何とも流暢な日本語で丁寧にお辞儀をしたお義兄さん一家。
「いえ、わざわざありがとうございます。
うれしいです!
こちらこそよろしくお願い致します!」
お袋がそそっと横に来て
「追加の人数分のお料理の変更は、もう頼んであるから。
それはうちが持つから心配しないように。
希君、勝手なことしてごめんなさい。
でも、こんなチャンスがなければ、修復できないこともあると思って…
お母様のことはお兄さんに伝えて、もう二人で話が終わってるから。
だから…しっかりと式に臨んで頂戴ね。」
「お義母さん…俺の…いや、俺達のために、ご迷惑をおかけして…本当に申し訳ありませんでした。」
深々と頭を下げる希の肩をバシバシ叩いたお袋は
「やだぁ!顔上げて!そんなの無しよ!
『申し訳ない』じゃなくて、
『ありがとう』でいいのよ!」
「…お義母さん…
ありがとうございましたっ!」
お袋は、頭を下げ続ける希を起こして、ぎゅっとハグをした。
「希君、二人で幸せになるのよ…
斗真をどうぞよろしくね。」
「…はいっ!ありがとうございます!
必ず、必ず、幸せにします…」
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