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第366話

ほおっと一息つくと、希が俺を見て微笑みながら頷いた。 やたらと無駄にイケメンだよな、コイツ。 俺も微笑み返して、頷いた。 次は…『誓詞奏上(せいしそうじょう)』って言ってたな… 一緒に立ち上がって、数歩進んだ。 希は巻紙を開いていくと俺に見せながら、大きな声で朗々と読み上げ始めた。 「誓詞 今日の佳き日に 私達は◯◯大神の御前で結婚式を挙げました。 今後は 信頼と愛情を()って お互いを慈しみ励まし合い(たす)け合い 良い家庭を築いていくことを誓います。 何卒 幾久しくご守護賜りますようお願い申し上げます。 平成◯◯年◯月◯◯日 遠藤 希」 「遠藤 斗真」 震えた…自分の名を告げる声も震えていた…と思う。 希の男っぷりに…泣きそうになった。 こんなに堂々と俺達の未来を誓ってくれた。 震える俺の手をそっと握りしめる大きな手。 見つめ合って、何も言わなくても通じる心。 あぁ…希と会わせてくれて、ありがとうございます… 何があっても慈しみ励まし合い(たす)け合い 良い家庭を築いていくことを誓います… 心から、愛する人と結ばれたことに…感謝します… ふと気付くと、周りから啜り哭く声が聞こえた。 そっと振り向くと、親父が必死で涙を堪えて、肩を震わせている。 お袋や義姉さん達はハンカチで目元を抑え泣いていた。 俊兄は両手の拳を握りしめ、上を向いて口をへの字に曲げていた。 翔兄は…へらへら笑ってる! 反対側を振り向くと…嗚咽を押さえて泣くお義兄さんの手を真っ赤な目のお義姉さんが握りしめ、子供達三人は滂沱の涙。 お義母さんは、ハンカチで顔を覆ったまま大きく肩が上下していた。 家族を前にしての希の宣言に、みんなが感動していた。

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