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第368話

満面の笑みを(たた)えながらもまだ少し赤い目の家族達と 「はい、右のお姉さん、もう少し中央へ。 はい、お坊っちゃん、もう少しお母様の方へ、 はいはい、いいですよ。」 なんて、あれこれ指示するカメラマンの言う通りにぎこちなく整列し 「では撮りますよー! はい『しんぶんしー』!!」 ん? 何故『しんぶんしー』?? 「あははっ!『チーズ』だと、お口が『う』の字になっちゃうでしょ? 『い行』のもので、今日の気分が『新聞紙』だったからー。」 今日の気分が『新聞紙』!? 馬鹿受けする家族達に気を良くしたのか、カメラマンはここぞとばかりに 「はい!続けて撮りますよー! ではみなさんご一緒に! はい!『しんぶんしー!』 はいもう一枚! はい!!『しんぶんしー!』 ありがとうございます! お疲れ様でした!」 「希様、斗真様!お疲れ様でした。 みなさま、お二人との写真を撮りたいとお待ちかねですので、お食事会のお時間まで、そうされたら如何ですか?」 「はい、そうします! 仕方ないよなぁ、斗真?」 「仕方ないよなぁ、希。」 くすくす笑いながら、写真に収まっていく。 希と…お義母さんも…二人で… 賑やかな写真撮影会は、遥さんが呼びに来るまで続いた。 俺達はスーツに着替えた後、場所を館内のレストランに移して、これまた賑やかな食事会が始まった。 大人し過ぎたチビ助どもは、いつものヤンチャぶりを取り戻し、英語と日本語が飛び交う中、酒豪の親父や兄貴達はご機嫌で、希のお兄さん…これもまたウワバミクラスの酒豪だった…と盃を酌み交わす。 女性陣はさっきの写メを転送し合い、悶えている。 ひょっとして、ジェシカさんも…腐の人!? 当人そっちのけで盛り上がる家族達。 まぁ、いいか。 俺は希と時折顔を見合わせ、料理を堪能する。

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