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第369話
煩いほど賑やかな宴もお開きとなり、俺の両親達も、希のお兄さん親子も、それぞれそのまま観光へ行くために別行動となった。
お義母さんは…くれぐれも希のことをよろしく と赤い目をして帰って行った。また食事にでも行こうと約束をして。
「じゃあな、斗真。元気でな。
希!斗真のことよろしくな!」
「希君、斗真君!いつでも帰ってきてね、待ってるから!ぐふふふっ。」
「希君、喧嘩したらいつでもいらっしゃい!
斗真は無視していいからね!」
「斗真君、ワガママな奴だけど、末永くよろしく頼むね。」
等々、口々に言うもんだから終始がつかない。
それでも何とかお礼とお別れの言葉を告げて、笑顔で去って行く家族達を見送った。
「無事に終わったな…」
「うん。希、ありがとう。」
「こちらこそ。斗真、ありがとう。」
しっかりと繋がれた手と指…
改めてオーナーご夫夫とスタッフさんにお礼を言って帰ろうとした時、俺はまた 遥さんにこっそりと呼び止められた。
「斗真様、先日のアレ、いかがでしたか?」
「あっ、アレですね!?
希がもう、喜んじゃって…ありがとうございました。」
「それはよかった!
で、もしよければ、違うパターンのものをお渡ししようと思ってるのですが…いかがでしょう?」
満面の笑顔の遥さんに、俺は思わず即答していた。
「ぜひ!ぜひお願い致しますっ!」
そうして俺の手元には、小さなブルーのパッケージのプレゼントが…
目ざとくそれを見つけた希の綻んだ顔をまともに見ることができず、赤い顔のまま、そそくさと式場を後にしたのだった…
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