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第371話

吸い付くように自然と寄っていく唇。 ちゅっちゅっ 部屋に響くリップ音。 「…斗真…もう、ほしい…お前が…ほしい」 切なげにささやかれて、胸がキュンと疼いた。 「希、俺も。俺もお前がほしい。 でも…その前に綺麗にさせてくれないか? 花嫁のお願いだ。」 「…わかった。 俺のために綺麗になっておいで…」 こくこくと頷いた俺はバスルームへ直行する。 と…その前にテーブルの上のカバンからアノ包みをこっそりと持っていくのを忘れずに… 身体が火照り、上気した顔はほんのりと赤い。 二度目の初夜か…いや、まだ陽は落ちてはいない。 明るい室内と入り込む風で揺れるカーテン… 車のクラクションや公園で遊ぶ子供の声や…外の物音が微かに聞こえる。 初夜って何度やっても恥ずかしいな。 来ているものを脱ぎ捨てバスケットに突っ込んだ。 ドキドキが治まらないままバスルームに入り、コックを捻って、頭からお湯を被った。 ゆっくりと…自らの手で後孔を解す。 女ではない俺の身体は、いちいち手順を踏まないと愛する男を受け入れることができない。 でも その行為が今では愛おしい。 かける時間が切なくて尊い… 増える指の数だけ期待が高まっていく。 伴侶からは臆面もなく『愛してる』と言われ続け、家族や会社関係からは反対もされず受け入れられた。 こんなに愛されてる俺は世界で一番幸せだと叫びたい! バカップルだと言われてもいいんだ。 いい感じで解れてきた。 これだけやれば十分だろう。 あまり時間を掛けると、待ちきれないアイツは泣きそうになるからな。 髭も剃り、アンダーヘアーも少し整えた。

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