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第380話

程なくしてペットボトルを下げて希が戻ってきた。 「はい、斗真。」 「ありがとう。」 喉にへばり付いた強張りが流れていった。 「…ごめん、気持ち良過ぎてさ…お前、どんだけフェラのテク上げてんの?」 「上げてる…って何だよ、それ。」 「気持ちよかったってこと! あー、一発出したら何か落ち着いた! 斗真、これからゆっくりと…愛してやるよ。」 クスクス笑う希は俺からボトルを奪ってテーブルに置くと、覆い被さってきた。 「身体…冷たくなってる…」 俺を抱きしめると、人差し指で唇をひと撫でして、そのまま鎖骨に口を寄せる。 触れるか触れないかのその動きに 「擽ったい。」 顔を退かせようとしても 「今夜はスローセックスにする。」 と譲らない。 好きにさせようと諦めて、希の頭を撫でて、少しウェーブのかかった髪の毛を指に巻き付けた。 圧迫感を伴う唇の感触は、身体中に赤い跡を残していくのだろう。 さっき散々弄り倒された乳首には軽く愛撫を与えられ、それでもお腹の奥が切なげに疼く。 臍の横にも赤い跡を残し、上体を起こした希は、下着の紐を左右に引っ張った。 するりと解けたそれを引き抜くと 「これ()今度のお楽しみ♡」 なんて恐ろしいことを(のたま)っている。 『も』って何?『も』って! 俺が持ってるのは、この前の白いレースのやつとこれだけだぞ!? まさか…俺に隠れて手に入れてるんじゃないだろうな。 嬉々としてサイトを見てた希の姿が浮かんだ。 「…希…おい、希。」 「どうした?寒い?エアコン効き過ぎる?」 「違う!『これも』って、『も』って何だよ。 お前、まさかネット注文したんじゃないだろうな?」 「…………………………」

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