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第385話

雨の音がする…んー…天気予報、昼前から雨じゃなかったっけ? 胸の辺り、何だか擽ったい… 目を何度か瞬かせて、寝ぼけたまま視線を下にやると、黒いモノがすりすりしている… 「…希?」 「おはよー、寝坊助 斗真。」 「ん…おはよう。お前、何やってんの?」 「何って…斗真が早く起きてこないかなーって、待ってた。」 あぁ、そうだ。 夕べ、希に『待て』を強要して寝ちまったんだ。 『明日の朝』って約束してたから… 待ちかねて俺を早く起こそうとして擦り付いてたんだな… これを無視したら暴れるだろうな… 「で、ダンナ様?今日はどの下着を穿けばいいんだ?」 途端に、希にないはずのケモ耳がピンと立ち、尻尾がぶんぶん大きく揺れているのが見えた気がした。 幻覚か… 脱兎のごとくベッドを下りて飛んで行った希が手にしているのは、黒のビキニ。 うっわー…朝からそれですか… 恭しく差し出されたそれを受け取り 「シャワー浴びてくるから待ってろ。」 コクコクと縦に首を振る希。 餌を待つワンコみたいだぞ。 まぁ確かに…初夜を反故にした俺も悪かったんだ…煽ったのも俺だったし。 でも鼻血なんか出すか? ふと鏡を見てフリーズした。 何だこれ?? 夕べなかったはずの場所に、キスマークが…身体中に散らばっている。 寝ている間にやられたか… くるりと後ろを向いて見える範囲を確認すると…うわぁ…背中も脚の後ろも… アイツの変態度が増しているような気がするのは気のせいか? いや、違う。変態度は前からだ。 まぁ…いいか。 二人でしかできないことを…どうすれば気持ちいいのか、どこを愛せばもっと感じるのか、見つけ合うのも、また、いいだろう。

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