388 / 1000
第388話
おい、どんなシチュエーションだよ、それ。
まぁ、いいか…
今日はコイツの言うことをとことん聞いてやろうと思ってるから。
「俺はどうすればいいんだ?」
「真っ裸がいいけど…さっきの下着のお楽しみがあるからな…そのまでいいや。
布団に入って…うん、そう。
で、このトレイ持って…はい!」
俺の分のトレイを渡され、希は自分のトレイを手に持ち、もぞもぞと下半身を潜らせて、俺にぴったりとくっ付いてくる。
「さぁ、どうぞ!」
「「いただきます!」」
カリカリに焼けたベーコンにスクランブルエッグとレタスのサラダ。
程よく焦げ目のついたトーストはバターがたっぷりと添えられ、とろりと溶けかかっている。
湯気の立つコーヒーの香りも食欲を誘う。
トーストを頬張る俺を蕩けそうな笑顔で見ている希。
「ん?どうした?食べないのか?」
「ううん、食べるよ。
斗真が美味しそうに食べてくれてるからうれしくってさ。」
「お前が作るものは何でも美味いよ。
ほら、冷めないうちに食おうぜ。」
時々顔を見合わせては、意味もなくクスクスと笑い、小突き合う。
甘い甘い何気ない朝。
特別話したいことはないけれど、湧き上がってくる愛おしい想い。
胸の奥がきゅうっと切なくって、もどかしくて…初恋のような…
「…なぁ、希…」
「もぐもぐ…ん?どうした?」
「俺達さ、再会してからいきなり身体の関係になってさ」
「うん。あれは…反省してる。ごめん。」
「あー…もう、それはいいんだよ。
いろいろあったけど、お互いの気持ち確かめ合って籍を入れて結婚して。」
「うん。」
「何て言えばいいのかわからないんだけど…」
表現しようがなくて言い淀んでしまう…
ともだちにシェアしよう!

