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第389話

希は俺の態度に、真意を図りかねているのか、黙って俺を見つめている。 その瞳は…不安に揺れていた。 口元は何か言いたげに開きかけるが、すぐに真一文字に結ばれた。 あれ?希の様子がへんた…いや、変だ…何か勘違いしてるっぽい。 俺がお前に『嫌いだ』とか『別れる』とか言うと思ってんのか!? そんなことある訳ねーだろ! 思わせぶりな俺が悪いのか… はっきり言ってやるから待ってろ! 「上手く言えないんだけど…」 希がごくっと唾を飲み込む音が聞こえた。 「…俺、俺は、愛する希と一緒になれてよかった。 お前が乳首大好きな変態でも、下着収集の趣味があっても気にしないぞ! とことん、お前に付き合ってやるから…」 「はぁーーーっ!?」 希が目をひん剥いて反論する。 「『変態』って『趣味』って… どういうことぉ!? 『乳首大好き』は男ならそうじゃん!斗真だって好きだろ? だって、ちょっと触っただけでもぴくぴく身体が反応するし腰が揺れ…痛い!殴るな! 痛たたたっ! それにしても『変態』はあんまりだよ… …あぁ…下着は…ん…まぁ、百歩譲って認めるよ。 (ハッ!)とことん付き合う…って… 斗真!お前…」 「これからの人生長いんだ。 たくさんいろんなことして楽しもうな、希。 あ…言っとくけど、エッチなことばかりじゃないからな。 でも、俺が『絶対嫌だ』ということは止めてくれよな。」 「斗真…お前って…何てできた嫁…」 希は自分のトレイをテーブルに無造作に置き、俺の分を引っ手繰って放り投げる勢いで置くと、がばっと抱きついてきた。

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