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第402話

俺がぐったりとソファーに寝そべっている間に、希はベッドメイクを済ませてくれていた。 そよそよとカーテンを揺らす風が心地よくてぼんやりしていると 「斗真、ベッドに連れて行くよ。」 と抱き上げられた。 「自分で歩くから。」 「歩けないくせに。いいから言うこと聞いて。 いい子だから。」 妙に安心して、広い胸に擦り付いてみた。 ふっと鼻で笑われた感があるが、気にしない。 横たえられ、隣に滑り込んできた希に抱きしめられる。 温かい… 希の匂い… すんすんと鼻を鳴らし胸に縋り付く。 よしよしと頭を撫でられ その心地よさに酔いしれる。 「なぁ、斗真…」 「ん…何?」 「ひょっとして、ひょっとしてだけど。 お前…まだ子供のこと…なんか思ってないか? 違ったらごめん。」 びくっと反応する俺に、希がため息をついた。 マズい。 口にしなくても、今の反応でバレバレだ。 「斗真…その話はもう話し合って…というか話す理由もなく、もう解決してることだろ? お前が望むなら…とも思ったけど、やっぱ養子も無しだ。 子供がいたら、その分俺への愛が薄くなるに決まってる。 俺はお前の愛が100%ほしい。 80や90でも嫌だ。 俺だけを一生愛して構えよ。 それじゃあ…不満か?」 「不満だなんて…」 「じゃあ、もう、そのことで悩むな。 お互いの家にはちゃんと跡を継ぐ者達がいる。 俺の精子は全部お前だけの物だ。 それを使ってどうこうしようなんて考えは全くないから。 100%の愛を俺にくれよ。 お前にはそれ以上の愛をやるから。 俺だけを構え。 斗真…愛してるんだ…」

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