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第411話

ここから逃げ出したい… 自分がやってしまったことに恥ずかしさの余りに悶絶していた。 希はますます甘い眼差しを俺に向けている。 翔さんと智さんは…うおっ、一つのケーキを仲良く食べさせ合ってる… 俺達のことなんか目に入ってないように。 …よかった…見られてなかった… ん? 視線を感じる… うわぁっ!凛ちゃん… 「…見てた?」 「…りん、しらないよー」 大人だ。大人の対応だ…凛ちゃん、君はやはり大人だよ。 「ほら、斗真。これも食べろ。 …食べさせてやろうか?」 「…自分で食べる…」 希のケーキもゲットして、ひたすら食べた。 美味い、美味過ぎる。 俺がどちらも完食する頃、相沢夫夫も食べ終えたようだった。 「あー、今日のケーキも美味しかった! ね、よかったらアドレス交換しない? 家も割と近くで、会社もツーブロック先だなんて、俺達ご縁があるんだね。」 智さんの提案に喜んで交換した。 「お時間のある時に、ぜひうちに遊びに来て下さい! 大したおもてなしはできないけれど…」 希がそう言うと 「凛がまだ小さいので、みんなうちに来ていただいてるんですよ。 ぜひうちにお越し下さい!翔の料理は絶品ですよ。」 智さんの言葉に、微笑んで頷く翔さん。 「じゃあ、今度ぜひ! 俺達みたいな夫夫の知り合いがいなかったので…うれしいですよ! 今更ですけど、仲良くして下さいね。」 希もうれしそうだ。 「のぞみくん、とうまくん、ぜったいにきてね!」 凛ちゃんからのお誘いに大きく頷いた。 会計は「俺たちが誘ったから」と翔さんの奢りで 「ご馳走様の一言でいいですよ。」 と代金を受け取ってもらえなかった。 来月の再会を約束して、新しい友人ができたことを感謝しながら、喫茶店を後にした。 …翔さんが注文してくれていたお土産付きで。

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