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第415話

超ご機嫌の希とエレベーターに乗り込むと、すぐ指を絡められた。 空いた手で腰を引き寄せられ密着している。 恥ずかしいけれど振り解けない。 防犯カメラでバッチリ映っているはずなのに。 俺も…上昇する時間がもどかしい。 部屋に入り、一旦手を離してケーキを冷蔵庫に入れる間も、大型犬は俺の背中にへばり付いている。 何か変なスイッチが入ってるな。 隙を見て俺を抱えると、ソファーに縺れるように倒れこんだ。 バウンドするスプリング。 希はギシギシと跳ね返る俺を上から抱え込み、しばらく動かずにじっとしている。 熱い吐息が首筋に当たってゾクゾクする。 足の付け根に当たる固いものが、希の気持ちを伝えてくる。 ドクドクドク どちらのものかわからない忙しない心臓の音が布越しに伝わってくる。 「希…」 そっと名前を呼んでみる。 何度口にしても愛おしさが増す、その言葉。 欲に濡れた瞳に捕らえられた。 「…斗真…セックス、したい。」 臆面もなくストレートな誘い方に 「…もっとオブラートに包んだ言い方はないのか?」 と抗議すると 「それ以上どう言えと?」 と逆に問い詰められた。 「…だって、そんなあからさまな…」 希は、ふっと笑うと 「今更か?俺達、夫夫なのに。 じゃあ、何? エッチ?性交?まぐわい?情交?秘め事?夜の営み?交尾?交合?房事?契り?」 「あー、もう、いいって!!!!! 余計に恥ずかしい。もう、何も言うな! ばかっ。」 希の口を両手で塞いで止めた。 もごもごと何か言いかけていたが、大人しく黙ったから、そっと手を放してやった。

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