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第416話

情欲の燃える、獣の瞳で見つめられる。 その瞳に射竦められた小動物のように動けない。 段々近付くその目力に耐え切れず、ぎゅっと目を閉じた。 視界が閉ざされた分、それ以外の感覚が研ぎ澄まされてくる。 俺の大好きな香りが鼻先を擽る。 ちゅっ ちゅっ ちゅっ 角度を変えて何度も何度も、唇に軽く触れる、希の唇。 もどかしくて、自分から口を開け舌を少し差し出した。 くっ と喉で笑う声が聞こえ、その舌先を甘噛みされた。 すぐに希の口の中へ吸い込まれ、口内で嬲られる。 時折、口の端から零れ落ちる唾液をも舐め上げられ、その度に離れていく舌を追いかけるように口を開け、希の舌を待っていた。 早急なキスは、お互いの身体の温度を上げていく。 シャツを捲られ、剥き出しになった胸の粒をカリカリと引っ掻かれると、途端に尖り、存在を示し始める。 「あっっ」 身体を捻り逃れようとするけれども、希はそれを許さない。 両足をがっちりと挟み込まれ、下半身を拘束されていた。 上半身は喉元まで捲り上げられ、チノパンはすでにボタンもチャックも外されて膝まで下ろされ、下着が剥き出しになっていた。 「斗真…今日はレースじゃないんだ…」 そんな残念そうに言われても。 ついムキになって答えてしまった。 「当たり前じゃないかっ! いつも俺がヒラヒラのパンツを穿いてると思うなよっ! あれは…お前が喜ぶから…特別な時に…だから…」 「斗真っ!」 顔中、舐めんばかりの勢いで抱きつかれた。 「俺が…俺が喜ぶから穿いててくれたんだな? 斗真…お前って…何ていじらしいんだ! かわいい…かわいいなぁ、お前…」」

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