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第417話

『かわいい』を連呼され、複雑な気持ちになってきた。 「おい、希。」 「んー?」 「『かわいい』は止めてくれ。」 「いいじゃないか。かわいいんだもん。」 むぅっと膨れた俺の頬にキスをすると、下着の上から八割がた勃っている俺自身に触れてきた。 先程の濃厚なキスで感じてしまっていた俺自身は、ひと擦りされただけで、従順に希に懐いてしまい、下着の中でとろりと蜜を溢れさせた。 じわりと下着の一部の色が濃く変わっていく。 むにむにと中途半端に弄られて、もどかしさが募ってくる。 堪らずに叫んだ。 「全部脱がせろ。俺を…愛せよっ!」 待ってましたとばかりに、俺を抱き上げた希にされるがままベッドに運ばれて、次々と衣服を剥ぎ取られ放り投げられた。 俺だけ素っ裸だ。 「何で俺だけ…お前も早く…」 強請る俺に、希は焦らすようにワザとゆっくり服を脱ぎ、ぽとりとベッドサイドに落としていく。 ジリジリと火の付いた身体は火照るばかりだ。 煽られて焦らされて、興奮して心臓は飛び出しそうに音を立てている。 悔しくて希を睨んでいると、彫刻のような裸体を惜しげもなく晒した夫が、俺の上に跨ってきた。 「そんな顔をして…美人が台無しだろ?」 くっ…何が『美人』だ。 何だか急に腹が立ってきた。 もう、頭にきた。 脳味噌が沸騰している。 「やめた。」 「へっ??斗真、どうしたの?」 「だから、やめた。」 希の下からするりと抜け出し、放り投げられた服を纏めて抱えると、寝室を後にした。 汚れた下着を替えて、サッサと着替えを済ませる。 暫し呆然としていた希が、バタバタと慌てて裸のまま飛び出してきた。

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