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第423話
レディファーストのように玄関のドアを恭しく開けられ、無言で足を踏み入れる。
さっき…ごめんって言われたけれど…何に対して『ごめん』と言ってるのかわからない。
俺から折れなくちゃいけないのか?
『ごめんね』って俺から?
悪くないのに?
世間の嫁は自分に非がなくても、こうやって丸く収めてるのか?
何て理不尽な!!
悶々鬱々と考えながら、キッチンへ直行すると手を洗い、今日の予定のロールキャベツ作りに取り掛かろうと、冷蔵庫から材料を取り出した。
「斗真…今日は俺が作るから、ゆっくりしてて…」
そんなことより、“ごめんね”っていうキスとハグが先じゃないのか!?
そんなに俺に触れたくないのか?
また怒りのボルテージが上がってきた。
カチ無視して、鍋に水を入れ火をつけ、米を研ぎ始めた。
そんな俺を見ていた希は諦めたのか、バスルームへ行ってしまった。
いつもよりかなり大雑把に仕上げていく。
味もきっと適当だ。
それでも…美味い。流石、俺!
適当でもマジで美味い。
同時に…マカロニサラダも仕上げていく。人参も入れて色鮮やかに。
残った野菜くずで即席の漬物も作った。
洗い物も済ませてやっとソファーに座り込んだ。
何だかすごく疲れて、そのまま ぼすんと横になった。
希は…きっと先に風呂に入ってるんだろう。
今夜はここで一人で寝ようかな。
アイツが俺に触れたくないのなら、別々に寝た方が腹も立たずに済む。
あームカつく!
クッションを抱えると、ボスボス殴ってみた。
それでもイライラは収まらない。
さっさと風呂に入ってご飯を食べて、ビールを飲んで寝てしまおう!
寝たらきっと明日はいい日が来るはずだ!
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