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第429話

水のボトルを無造作に冷蔵庫から掴むと、ソファーにどっかと座る。 乾いた喉に流れ行く冷たい感触。 はぁーっ… 口元をぐいと拭い、今からする行為を思うと溜息が出る。 アイツはヤる気満々。 俺は…満々とまではいかないが、ソコソコに。 でも、肌が触れ合うと、お互いが貪り合ってMAXを迎えてしまう。 これでいいのか? 流されて希のやりたい放題になっていいのか? 男としての威厳は? まぁ、そんなもの元からないからさ。 いいんだけど…何だろう… このモヤモヤ感は。 やっぱり…『俺は男だ』的な観念に囚われてるんだと思う。 愛し合えば、そんなことどうでもよくなるんだけど。 丸っ切り、認めてしまってもいいんだけど。 雄としての本能みたいなのが邪魔をするのだろうか。 俺は…希を受け入れることについては何の問題もない。 再会した時にそうなって、もう、あの快感を身体に教え込まれてしまっているから、今更…という感じだ。 希を組み敷いて…いや、それはない。もういいよ。 身体の奥の奥まで支配されて喘がされる。 女のような嬌声を上げて乱れ狂ってしまう。 俺じゃない俺が、ひたすらに希を受け入れる。 …あの感覚を思うだけで、身体の奥が痺れて先端に熱が溜まりそうになる。 ほら…お前はもう希のオンナだ。 いい加減に認めろ。 希なしではもう、いられないんだ。 ココロもカラダも絡め取られ、逃げることもできない。 愛し合ってるからできる行為。 希にしか許さない。 これまでもこれからも。 俺を暴くのは希だけだ。 “愛しているから” そうだ、このシンプルな答え。 この思いがある限り、俺は希を受け入れるし抱かれる。

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