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第431話
好きだ…好きだ…好きだ…
無言のキスの中にも、希の思いが溢れんばかりに落とされてくる。
それを受け入れる俺からも、同じ思いが溢れている。
何をされても何をしても、俺はコイツから離れることはできない。
もし別れるようなことがあれば…もう、二度と恋愛はできないだろう。
片翼を捥 がれた鳥のように羽ばたけない。
ちゅっ くちゅっ じゅるっ ぐちゅっ
希は両手を俺の頬に添え、俺は希の胸元に手を当て、縋るようにキスをする。
次第に粘着質を帯びていくお互いの唾液が、口内で循環を繰り返す。
いやらしい音は耳から侵入して、脳髄をおかしくさせる。
中の細胞そのものを愛撫されるように錯覚してしまう。
体の内側からぷちぷちと弾けるような快感が止めどなく溢れてくる。
もう、好きにしてくれ
お前の望むように抱いてくれ
俺は、お前のものだから
声にならない声が俺を支配していく。
どちらからかわからないが、弄る手が肌を滑りバスローブを脱がしにかかる。
剥き出しになっていく肩のライン。
じっとりと汗をかいている胸筋。
もどかしげに腰紐だけが纏わり付いている。
それをゆっくりと外されて、生まれたままの姿を愛おしい夫に曝け出していた。
ごくりと希の喉が鳴った。
それを合図のように隙間がないほどに抱きしめ合う。
後頭部を掴み引き寄せて口付け、手の届く全ての肌を撫で摩る。
行き止まりまで絡め合う指先が熱い。
天を向く中心の昂りを擦り付け合うと、それだけですぐにでも達しそうになるのを必死で耐える。
無言の激しい愛撫が続いていた。
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