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第436話
「……斗真、大丈夫か?斗真…」
夢うつつに希の声がしている。
大丈夫じゃない…
ダルい…身体が鉛みたいだ。
瞼を動かすことすら苦痛に感じる。
「斗真…」
ちゅ と瞼にキスが落ちてきた。
仕方ない。煽ったのは俺だから、動けなくても文句は言わない。
「斗真?」
「…声が出ない…」
カスカスの声で答える。どれだけ叫んだんだ…
喉も痛い。
俺の頭を撫で、肩にキスをして希が出て行った。
はぁっ…調子に乗り過ぎた。
腰…痛い。尻も…痛い。
あんな奥まで受け入れたのは初めてだった。
「斗真、起きれるか?」
甘い匂いがする。
「ん…ちょっとまだ無理。ごめん。」
「…謝るのは俺の方だ。ごめん。無茶した。
はちみつレモン作ってきたんだけど…ストロー差したら飲める?」
「うん。」
コク コク コク
「酸っぱい…けど美味しい。ありがと、希。」
半分くらい飲んで少し首を振ると、希はそれをテーブルに置いて、俺の横に座った。
頭を撫でながら
「本当に潰しちまった。ごめん。」
「…俺がそうしてほしかったんだ。もう謝るなよ。」
「今日は休め。お前の分は俺がするから。」
「いや、少し休めば大丈夫だと思う。
『ヤり過ぎて有休』は洒落にならないだろ?
小っ恥ずかしいじゃないか。」
「大丈夫じゃないだろ?指一本動かないくせに。
いいから、俺に任せろ。な?悪いようにはしないから。
上司命令だ。」
「こんな時に上司面かよ。」
痛たたたっ…笑うと腰に響く。
「ほら見ろ!とにかく、今日は休め。」
ぺたぺたと湿布を貼られた。
一体何度こんな姿になってるのか。
誰のせいだよ。
…いや、煽った俺のせいだ。自業自得。
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