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第441話

あ…拗ねた。 「ごめん、ごめん。悪かった。びっくりしたんだよ。 まさか帰ってくるなんて思ってないから。 気にしてくれてありがとう。 お弁当も食べて、希がきっと今日はくたくたで帰って来るだろうから、晩ご飯の支度をぼちぼちとやろうと思ってたとこなんだ。」 両手を頬に添えて、唇に ちゅっ としてやるとご機嫌は直ったようだった。 「俺を誰だと思ってんの? …仕事は終わらせてきた!」 ドヤ顔で言い放つ希に 「は?…二人分だよね?」 「うん。だから斗真のために頑張って、 終・わ・ら・せ・た! 褒めて、褒めて!」 子供か… ぐりぐり頭を擦り付ける様は、子供か、犬だ。 よしよしと頭を撫で、労いの言葉を掛けてやる。 「よく頑張ったな、ありがとう。 二人分、大変だっただろ? ごめんな、希。負担かけてしまって。」 ふふん と得意気に笑いながら、くっ付いて離れようとしない希をそっと抱き、抱きしめられていた。 じわりじわりと俺の中に、希がチャージされていく。 これだ。 これがほしかったんだ。 俺も離れたくなかったから、目を閉じてじっとしていた。 「斗真…」 「ん?」 「…何かあっただろ。」 …俺の夫は、こと俺に関しては鋭い勘を発揮する。 「…お前が帰って落ち着いてから話そうと思ってたんだ。」 背中に回していた腕をそっと離して、まだ痛む腰を庇いながら携帯を持ってきた。 「これ。」 差し出された画面見た希の顔がぴきりと引き攣った。 「あの野郎…二度と接触してくるなって言ってんのに…」 「…うん。でも、もうこれで本当に終わりだよ。 俺は返信してないし。 相手もバカじゃないからその意味もわかるだろう。 もし、また連絡を取ってきたら…ボスに言うから大丈夫だ。」

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