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第443話
やっと…やっと解放された時には、お互いの息が上がって、肩で息をする始末。
「…っ…どれだけ盛ってるんだよ。
希、落ち着けよ。」
「だって…斗真が愛おしくって堪らないから…
お前だってベロチューしてたじゃないか!」
「“ベロチュー”言うな!ロマンの欠片もない奴め…
…これ以上は無理だからな。」
「わかってるよ…残念だけどな。
あ、晩ご飯は俺が作るから。そのつもりで材料も買って来たから、そこに座ってて。」
「え?俺がするよ。
希は今日、二人分働いてるんだ。
少しは休んでくれよ。」
「ふふっ。じゃあ、二人で一緒に作ろうか?」
うん、と返事をしてシンクに立った。
「余り物で何か作ろうと思ってたのに、何買ってきたんだ?」
「急に海鮮丼食べたくなってさ、刺身系のものと…斗真が喜ぶもの買ってきたんだ!
冷蔵庫入れとかなきゃな。」
ガサゴソと袋から取り出してきたのは、ケーキが入ってそうな箱…
「おおっ、ひょっとしてケーキじゃないか!?」
「うん、開けてみ?」
ぺりぺりとシールを剥がし、そっと蓋を開けると…
色鮮やかにフルーツが乗ったタルトと、チーズケーキと、プリン!
目がキラキラ輝いてガン見する俺を希がうれしそうに見ている。
「全部美味しそう…」
「うん。三個とも斗真のものだよ。
ご飯終わったらコーヒー入れてやるから。」
「え?希のは?」
「うーん…じゃあ、一口ずつ頂戴?」
思わず、でへへっ と顔が崩れる。
「食べたかったんだ。何でわかったの?
テレパシー?」
「愛するヨメの考えてることなんて、俺にはわかるのさ。
さ、冷蔵庫入れとくぞ。」
「希、大好き!」
ちゅっ
ご褒美にキスしてやった。
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