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第444話
それからご機嫌で下ごしらえをして、後は盛り付けるだけにしてから、当たり前のように希に手を取られバスルームへ連れて行かれた。
今日は仕方がない。
自分で洗えないんだから。
両手をあげると腰がピキッてするし、屈み込むこともできない。
いろいろ自分の中で言い訳をしてから、ゆっくりと服を脱ぐ。
途中、先に脱いでしまった希に手伝ってもらい、スッポンポンになった。
「やらしいことするなよ!絶対今日は無理だからな!」
釘を刺すと、チッと舌打ちして
「わかってるよ!理性120%で押さえ込んでるんだから、煽るな、バカ!」
と叱られた。
本当に…希は何も仕掛けてこず、髪の毛から足の先まで、もこもこの泡だらけにして洗ってくれた。
希が手を出してこないなんて、珍しいこともあるもんだ。
別に、ちょっかいを出されたいわけじゃないし。
じっと見つめていると
「何?どうした?」
と訝しまれたが、仕上げにザッとシャワーを当てられて
「はい、おしまい。」
と手を取られ、ゆっくり脱衣所に先導される。
バスタオルで わしゃわしゃと拭かれ、着替えも全部希が手伝ってくれた。
「はあっ…これじゃあ、介護じゃないか。
何だか情けないなぁ…」
「はははっ!斗真じいちゃん、はい、こっちに来てー!」
揶揄う希をジト目で睨みつけるが、何処吹く風。
「ほらほら、拗ねないで。
ケーキ、ケーキ食べなきゃ。ね?
コーヒー持ってくるからさ、ちゃんと座ってて!」
おっ、そうだ!ケーキ、ケーキ♡
はっ…希の思うツボだった。
でも、まぁ、いいか。
美味しいもの食べれるし。
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