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第445話
あっという間に、三個のケーキを平らげた俺は
(希にひと口やると言ったのに『全部お前が食べろ』と箱ごと渡された)お腹も心も満たされて、ご機嫌になっていた。
「…この間から甘いものばっかり食べ過ぎてるよなぁ…ちょっと控えなきゃ…
腹回りも気になるし、糖尿病も怖いし…」
ぼそぼそとひとり言を呟いていると
「斗真のお腹が、ぷよぷよになっても俺は愛してるよ」
と希が返してきた。
「お前は…さっきから黙って聞いてりゃあ、『じいちゃん』だとか『ぷよぷよ』だとか…
じいちゃんはともかく、ぷよぷよには絶対にならないからなっ!」
ふんっ!と鼻息も荒くそっぽを向いた俺に、希が微笑みながら(その王子様スマイルは止めろ)近付いてきて、おでこにキスをしてきた。
「俺はどんな斗真でも愛してるからな。
さ、歯磨きしてさっさと寝るぞ。」
「…食べてすぐ寝たら身になるから、俺はもうしばらく起きとくぞ…」
嫌味ったらしく告げると
「じゃあ、俺も♡」
と、べったりとくっ付いてきた。
希の匂いだ…
くっ付いている半身が、じんわりと温かい。
何か悔しいから、腰を気遣いながら俺も体重をかけてくっ付きかえす。
「斗真、まだ腰辛いんだろ?
明日も休んでいいぞ。今日、お前の分の大口一本取ったから、慌てることないし。」
「ふえっ?今日のあの短時間で?
だってお前だって」
希は言いかけた俺の唇を人差し指で押さえ黙らせると
「だ・か・ら、俺を誰だと思ってるんだ?
天下の遠藤 希様だぞ?
俺は俺でちゃんとゲットしてるの!
心配すんな。」
はあっ…流石だよ…完敗だ…
「お前はやっぱりすごいよ。
スパダリの鏡だな。
もう、甘えちゃおう!
明日も俺は休む!」
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