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第446話

希の肩に頭を預けてため息をついた、 「あー、もう。 俺、何だかいろいろとダメダメで。 身体もそうだけど、メンタルもちょっとやられてる。 …もう、甘える!明日も休む!ズル休みだ! 希、明日もよろしく!」 希は俺の頭を撫でながら 「走ってばかりじゃ息切れするよ。 斗真は今までずっと突っ走ってきたんだ。 時々は立ち止まって、振り返って、自分が今 立っている所はどんな場所か、進む道は間違ってないのか迷ってないのか、見極めなきゃ。 だから、いいよ。ゆっくり休みな。 俺がいるから、大丈夫。 …俺だけに甘えてくれ。」 「希…お前、サイコー!」 なおも身を寄せて擦り付く。 心地いい。安心する。 俺が俺らしくいられる場所。 目を閉じて大きく深呼吸する。 希の逞しい腕に抱かれ、俺はしばらく動けずにじっとしていた。 何も言葉を交わさなくても、お互いの体温と匂いと鼓動と、纏う空気で、何となく気持ちがわかる。 もう、希は俺の一部分になってしまっているんだ。 「希…今更だけど、本当にありがとう。 俺を選んで、俺と結婚して側にいてくれて。」 ふっと柔らかな笑みを浮かべた希は 「こちらこそだよ。 俺を選んで結婚してくれて、今、こうやって俺の腕の中にいてくれてありがとう。 愛してるよ、斗真。」 ちゅっ 鼻先をくっ付けて、すりすりとくっ付け合う、そんな行為にも、もう慣れた。 二人っきりなら恥ずかしくはない。 愛おしさが募る、希への愛。 「抱っこしてベッドに連れて行ってやってもいいけど、腰が痛いかも…歩いた方がいいよな。」 「一人で歩けるから大丈夫だ。歯磨きしてから行くよ。」 わかった、と またキスした夫は、鼻歌を歌いながら食器を片付けに行った。

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