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第451話

銀糸を引いて、唇が離れた。 「これ以上は…ダメだ。 斗真の身体に無理がかかる。 治ったら…スローセックス、しような。」 くすくすと笑い合って、鼻先を擦り合わせる。 「希…お前って意外と忍耐力あるんだな。」 揶揄うようにおでこを人差し指で押すと 「バーカ。フルスロットルの理性で押さえてんだ。 本音はこのまま押し倒して、俺のバズーカをお前に突っ込みたいよ。 気が狂いそうなくらいに抱き潰したい。 でも、そうしたら斗真は一週間は寝込むことになるぞ。 そうなったらお互いに困るだろうが。」 「偉い、偉い。 希君はお利口だねぇー。」 「おちょくるな。」 顔を見合わせて ぷっと吹き出すと、腰にキた。 「痛たたたっ」 「斗真、大丈夫か?」 希に腰を摩られながら、さっきからの憂鬱がどこかへ行ったのを感じた。 “希クリニック”すげぇよ。 知らぬ間に、独り言が口から出ていたのだろう。 「斗真、『希クリニック』って何だ?」 「何だ…聞こえてたのか… お前が帰ってきて励ましてくれて、ぎゅってしてくれて、キス…してくれて… 気が付いたら鬱々とした気分が治ってたんだ。 だから…お前は俺の精神安定剤で、サイコーの名医なんだ。 それで“クリニック”って思って、つい…」 「ふふっ。斗真…もう、あんまりかわいいこと言わないでくれよ… 俺、結構限界なんだけど… じゃあ、患者さんは先生の言うことを聞かないとな。 とにかく早く腰を治してくれ。」 ちゅっ と鼻先に落とされたキス。 希がいれば、何にも怖くないよ。 と、そこへラ◯ンの着信音が鳴った。 「ん?今頃誰だろ…」

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