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第461話
二日サボって恐る恐る出勤する。
「…おはようございます…」
コソコソとデスクに辿り着き、鞄を置こうとして机上の書類に気が付いた。
希が俺の代わりに契約してきてくれた書類だった。
「お!遠藤斗真!やっと復活したのか!?
もう、いいのか?」
「岡本さん…ご迷惑かけて申し訳ありませんでした。
でも、いい加減そのフルネーム呼び、止めて下さいよ…」
「だって、遠藤が二人だぜ?
チーフはチーフでいいけれど、お前は“遠藤”って呼び捨てはちょっとなぁ…
それにやっぱりお前は“影山”ってイメージだし。
あぁ、その書類、チーフが取ってきた契約だろ?
お前だけが特別じゃないから安心しろ。」
「どういう意味ですか?」
「例えばさ、締切の最終日にあと一件あれば、給料に反映されるのに…って時あるじゃん?
頑張っても頑張ってもどうにもならなくて。
一カ月の苦労が水の泡…
そんな時にさ、日頃の頑張りを見ててくれてさ、チーフが『今からこの会社の◯◯課の△△さんの所へ行ってこい』って言う訳よ。
そしたらもう、話が終わってて書類をいただくだけになってる。
その契約は、『俺が取ってきた』ってことで、目標クリア、達成おめでとー!ってなことになるんだよ。
俺達みんなチーフに助けてもらってるんだぜ!
あの人、何気に俺達のやってること見てるんだよ。
で、いざっていう時に手を差し伸べて助けてくれるんだ。
俺達最初はさ、『若造のくせに』とか『たいしたことないだろう』って高を括ってたんだ。
嫉妬もあったんだと思う。
でも、今ではみんなチーフをリスペクトしてるんだぜ。
あの若さですごいよな。
すごいから昇進するし、期待もされてるんだ。
お前もすごいけどさ、あんな人と結婚できてよかったな。」
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