462 / 1000
第462話
そうだったんだ…知らなかった。
「今だから言えるけどさ、お前達が結婚した時…正直、俺達、ちょっと引いたんだわ。
あ、誤解するなよ?
お前の性格も成績も、ずっと見てて付き合ってきて知ってるわけだろ?
お前達見てたら、段々と結婚した意味がわかったというか、必然だなって思うようになって…
性別なんか関係ないんだって理解した。
今では、全員が応援してるよ。
何かあったら守ってやろうって。
まぁ身体が一番だから、気を付けろよ。
若いからって油断してると、あちこちガタがくるぞ。」
あははっと笑いながら肩を叩き、岡本さんは自分のデスクに戻っていった。
そうなんだ…
みんな、そんな風に思ってたんだ。
そうだよな、男同士の結婚ってそうなんだよな。
普通に考えたら引くよな。
…でも、今では応援してくれてるって。
そうか…そうなんだ。
希は、そんなことしてたんだ。
自分の目標は遥かに超えて達成するくせに、他人に回すことができるなんて、どんだけ仕事ができるんだよ。
やることが隙がないし、さり気なくて的確だ。
それでみんなの心を掴んで。
そんな男が俺の一生のパートナーなんて。
やっぱりアイツには敵わない。
それでも
デキル男に溺愛されているのは俺だ。
俺だけだ。
あの完璧な男が甘えるのも俺だけ。
唯一の自慢?
それでもいいか。
希のことを愛してるんだもん。
さて、俺は俺なりに頑張るとするか。
まずは、この書類をありがたく処理して…
俺だってそれなりにデキル男なんだぜ?
何たって、ここの“エース”だからな。
お前だけにいいカッコはさせないぜ。
ともだちにシェアしよう!