466 / 1000

第466話

「やっぱりベッドに行こう。」 カップは、まだコーヒーを半分残したままテーブルに置かれ、抱き上げられて寝室へ運ばれる。 何度されても落ち着かないこの姿勢。 俺は女ではないから“姫抱き”は、非常に違和感がある。 それでも、大切にされてる感じがするから、大した抵抗もせずに大人しくしているのだ。 俺を下ろし、布団を捲り上げ、枕を背中に当てて、足を投げ出して座った希は、甘い声で俺を呼ぶ。 「とーま♡早くおいでー」 俺はベッドにゆっくりと上がると、希に跨って抱きついた。 途端に、ごりっと固いモノが下半身に当たる。 「…希…完治するまで無理だからな…」 「わかってる、わかってるよぉ…でも、身体は正直なんだ!」 仕方ないじゃん…とブツブツ言いながら、希も俺を抱きしめる。 よしよしと、頭を撫でてやると、擦り寄ってくる猛獣。 何とか宥めすかして、寝かさないと…これ以上デカくしないでくれ! 話題をそらそうと 「なぁ、凛ちゃんのお土産、俺が勝手に決めたぞ。」 「おっ、サンキュー。で、何にしたんだ?」 「ほら、相談してたやつ、あっただろ? 今、幼児から小学生に大人気の洋服のブランドのさ、好みがわかんないから、商品カードで。 あの人達二人とも忙しいみたいだから、ネット注文もできるように。」 「あぁ、それいいな。 ヘタな物持っていけないし、凛ちゃん用なら遠慮しないで受け取ってもらえると思う。 すっげえ楽しみなんだよ。 翔さんとも腹割って話しできそうだし、何たって、ご飯がさ…ふっふっふっ。」 「俺も智さんと絶対に気が合うと思う。 翔さんには、いろんなレシピ教えてもらおうと思うんだ。」 「腕を上げた斗真の料理が楽しみだな。」 「ふふっ。乞うご期待。」 鼻先をくっ付けあってクスクス笑う。 何気ない会話。 触れ合う肌から伝わる温もり。

ともだちにシェアしよう!