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第467話

抱きついて匂いを嗅ぐと、俺の大好きな希の匂いがする。 「…いい匂い…」 思わずポロリと口から溢れた。 希は俺の頭を撫でながら 「お前って、ホントに俺の匂いが好きなんだな… ほら、好きなだけ嗅いでいいぞ。 …何だかこんな言い方、変態チックだ…」 「お前は変態だからいいんだよ。」 「何だよ、それ。」 「だってエッチな下着頼んで俺に穿かせたり、道具使おうとしたり…」 「はいはい、どうせ俺は変態でイケメンのスパダリですよーだ。」 拗ねる希の頭を撫でて、ちゅっ とキスを一つだけしてやった。 「でも、そんな変態でイケメンのスパダリを愛しちゃってるんだから…まぁ、いいか。」 ぎゅーーーっと抱きついて、頸の匂いを胸一杯に吸い込んだ。 規則正しい心臓の鼓動が聞こえてきた。 ドクドクという音が変換されて違う音になった。 スキスキスキスキスキ… ふっ。どれだけ俺のことが好きなんだ? いや、俺がそう思うってことは、俺が希のことを… 「…斗真…」 「ん?」 「我慢できなくなるから、理性が効くうちに離れて。」 ひっ 急いで、それでも腰を庇いながら慌てて希から離れると、真っ赤な顔をしている。 あらら…煽ったのは…俺ですね? 「…ごめん。」 「…俺、ちょっと…トイレ…」 希が出て行った。 ごめん…悪かったよ、希…今頃…お一人様で昇華してる真っ最中だな。 ホント、マジごめん。 煽るつもりなんてこれっぽっちもなかったのに。 治ったら、ちゃんと相手してやるから… そうだよな、希にとったら蛇の生殺しみたいなもんだよな。 悪かったよ。今日は俺が悪い。 無自覚に煽ったことを反省しつつ、布団に潜り込んだ。 しばらくして希が戻ってきて、俺の横に滑り込んできた。

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