468 / 1000

第468話

おでこをぐりぐりとくっ付けて 「希…ごめんな…目一杯我慢したんだろ? 治ったら、ちゃんと…愛し合おうぜ。 待たせるけど…ごめん、待ってて…」 希に鼻を摘まれた。 「ホントだよ…もう、あのまま押し倒そうかと思ってたんだぜ… でも、そうしたら、斗真が寝込んで起き上がれなくなるから…理性フル動員でさ、我慢したんだよ… 褒めて、褒めて!」 よしよしと頭を撫でて労ってやった。 「いい子、いい子。頑張ったな。 …ありがとう。」 「…いい子は寝るとするか…その代わり、抱きしめて寝るからな。 それくらいは許してくれよ…」 わかった…と ささやいて、ご褒美のキス。 ちゅっちゅっ と何度か唇を重ねて、熱が高まる前に離れた。 擦り付いてくる下半身の布越しの熱に気付かぬフリをして目を瞑る。 何も言わない。 何も聞かない。 昂ぶる想いだけが互いの身体を巡る。 少しずつ荒くなる息遣いを感じながら、希に『ごめん』と謝りつつ、夢の世界へと旅立って行った。 翌日、掛けたアラームより早く目覚めた俺は、心地よい温もりからなかなか抜け出すことができずに、しばらくそれを堪能していた。 目の前のイケメンはぐっすりと眠っている。 相変わらずの整った顔立ち。 静かな寝息。 頬にそっとキスを落として、希を起こさないようにベッドを下りた。 あ…痛くない。 少し違和感はあるものの、昨日までの変なピリついた痛みがなくなった。 完璧ではないが、ほぼ治ったな… 冷蔵庫を開けて卵を取り出し、卵焼きの準備をする。 焼き上がるいい匂いがしてきた。 「とぉーーまぁーーーっ!」 あーあー、王様のお目覚めか。 ドタバタとキッチンまで飛び込んできた希は後ろからそっと俺を抱きしめた。 「斗真、おはよ♡」

ともだちにシェアしよう!