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第470話

その日も好調に飛ばして契約を取ってきた俺は、堂々と定刻に退社した。 希は少し遅くなるらしい。 さっさとシャワーを浴びて着替えを済ませ、忘れ物のないように準備しているところへ、希が意気揚々と帰ってきた。 「遅くなってごめん!」 「大丈夫だよ。シャワーを浴びておいで。」 はーい、と ご機嫌な返事をして希がバスルームへ消えた。 この時間なら十分に間に合うはずだ。 今夜は相沢家に招かれて、夕食をご馳走になるのだ。 ワクワクせずにいられるかって。 いつの間にか希も着替えを済ませ、小さな紙袋を手に 「さ、行こうか。」 と俺の手を取り玄関へと向かった。 「それ、何だ?」 「翔さんたちへのプレゼント!」 「ふーん…」 何か嫌な予感がする。 中身はきっと…いや、見なかったことにしよう。 智さん、ご武運をお祈りします… ドアを開ける寸前、濃厚なキスをかまされた。 「んなっ!?」 「ここから出たらしばらくキスできないからな。」 あははっ と笑う希の背中をバシッと叩いて、鍵を閉めた。 目指すは相沢家! 二つ目の駅で降りて数分歩くとすぐに、大きなマンションが見えてきた。 「ここかぁ…すげぇ立地もいいし、高級マンションじゃん! 流石、人気の料理人が住む所は違うよなぁ…」 「俺達のマンションなんか霞んじまうよ… こんな所に住めるように稼がないとな、希!」 「ははっ、そうだな。 じゃあ、頑張るとするか、ヨメさん!」 「期待してるよ、ダンナ様!」 軽口を叩きながらインターホンの前に立った。 おおっ、コンシェルジュもいるんだ。 すげぇ… ピンポーン 「こんばんは。遠藤です。 お招きいただきありがとうございます!」 「お待ちしてました。どうぞ!」 開けられた自動ドアを抜けてエレベーターへ乗り込んだ。

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