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第472話
「あ、そうだ!これ渡さなきゃ!
ご馳走に見惚れてた…希、これ!」
「ホントだ…俺も。これは翔さんに。
後でお二人でこっそりと…
これは凛ちゃんに。
最近女の子に大人気のブランドの商品券…というか、カードです。
凛ちゃん、好きな物が買えるかどうかわかんないけど、ネットでも見れるから、翔さん達に見てもらって選んでね。」
「お気を遣わせて申し訳ありません。
ありがとうございます。」
「あーっ、これっ、これだよ、さとし!
みーちゃんが、このあいだみんなにみせびらかしてたの。
いま、すっごいにんきなんだよ!
のぞみくん、とうまくん、ありがとう!」
うれしそうな凛ちゃんの様子にホッとした。
「かえって気を遣わせてしまって申し訳ない。
さ、どうぞ、遠慮なく食べて飲んで!」
翔さんの薦めにまた箸が伸びる。
酒が入ると気が緩み、お互いのプライベートな話にも及んできた。
「希さんと斗真さんはどこで知り合ったんですか?」
「あー、もう、『さん』付け止めましょう!
呼び捨てでいいです!
俺達は…元々隣同士の幼馴染だったんです。
中三の夏休みに、俺が無理矢理 希を抱いて…
その後、すぐコイツが転勤でアメリカに行ってしまって、もう二度と会えないと思ってたんです。
ところが、上司としてやってきたのが希で…
あれこれあったんですけど、お互いの気持ちがわかって、やっと結ばれたんです。」
「そうなんですか。幼馴染なんですね。
それは長い付き合いだ。
俺達は、凛の両親が亡くなった日に出会って恋に落ちたんです。」
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