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第503話

希…『重い』って、自覚はあったんだ。 「『重い』か…うん、確かに重いよ。 くっくっくっ…お前、ストーカー並みだもんな。いや、それ以上だよ。 時々、俺でさえ引く時あるもんな。 オンとオフ、極端だし。甘え出したらデレまくるし。 でもさ、希…俺もお前に負けないくらい、密かに『重い』ぞ。 お前は気付いてないかもしれないけどさ。 俺の愛情、どんだけ深いか知ってる? 仕事も順調だ。 でも、走り過ぎたらいつかはバテる。 時々は立ち止まって息継ぎをしなきゃ。 出世も…俺にとってはそう価値のあるものじゃない。 『幸せ過ぎて怖い』って…俺だってそうだよ。 いつまでもこの関係が続くことを願ってる。 想いを寄せて止まないお前と一緒になれて、もう、これ以上のことは望まない。 でも、人間である以上、いつかは必ず別れはくるんだ。 これは仕方がないよ。 でも、そんないつかわからない先のことばかり心配しても仕様がないだろ? それこそ生きるのが辛くなる。 …俺はお前が言う、その『幸せ過ぎ』を満喫したい。 『その時』が来るまで、お前とずっと一緒に生きていきたい。 だから、健康にも気を付けるし、いろんなトラブルに巻き込まれないようにも…あ、これは一度痛い目にあってるから、身に染みてるぞ…極力自制してる。 人生はプラマイゼロだから。 貰ったものは与える。 それは物だけでなく精神的なものも。 そうやってバランスを取っていけば落差もないし。 今も最後の時も、俺は希だけいてくれたらいい。 葬式を出せるだけの貯金があって、慎ましくてもお前とのんびりコーヒーでも飲みながら、寄り添っていればそれでいいんだ。 希…お前だけを愛してる。 俺の『重い』愛、受け取れ。」

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