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第505話
自分のDNAを残せない。
俺達みたいな同性カップルが、きっと打ち当たる壁。
愛が溢れるようにあっても…雄としての本能で、自身の種を残そうとする行為も、着床することなく排泄されて終わってしまう。
そこに残るのは、お互いを慈しみ愛おしく思う愛のみ。
希を生涯愛すると誓った時に、そのことはもう、俺の中で解決済みだ。
希が『斗真だけでいい』と言ってくれたから。
そう言った希は、『一人になること』をずっと怖がっていたのか。
自分の後に続く血の繋がる者がいれば、頼り、心を寄せ、残りの人生を歩んでいけるのかもしれない。
でも、俺達は違う。
心底愛し、全てを委ね、パートナーだけを愛し続ける。
だからこそ、どちらかがこの世から姿を消してしまえば…という先のことを考えてしまうんだろう。
希…
俺はそんな先のこと考えられないよ。
今、この生きている瞬間を全力でお前を愛す。
俺の全てをお前にやるから、もう、そんな悲しいことは考えるの止めろ。
心の中でそう叫びながら、いつの間にか寝入ってしまった。
温かい…特に胸の辺りが…
目を開けると、希の頭があった。
コイツ、キスしまくった後、抱きついて寝たんだな…
唇が腫れぼったい。
どんだけ吸い付いて舐めたんだよ。
腰…動かせる。大丈夫だ。今回は回復が早いぞ。
そっと希の身体から離れようとしたら
「どこ行くの?」
「起きてたのか?おはよう、希。
ちょっとトイレに。」
「おはよう、斗真。
すぐ戻ってきて。ぎゅうしたい。」
はいはい、と言い残し、洗面所の鏡を見て ため息が出た。
ヤバい…唇がはれている…
ご希望通りすぐに戻って抱きしめた。
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