506 / 1000

第506話

俺は希を抱きしめながら 「おい、めっちゃ唇腫れてるぞ!? 今日はキス禁止。 どんだけキスしまくったんだ!? …今日はいい子で過ごすんだぞ?いいな?」 ぷぅっ と膨れた希は 「一回くらいいいだろ?」 と、俺の隙を見て、ちゅっとキスしてきた。 あー、もう。 少しの我慢もできないのかよ。 泣いたカラスはどこに消えた!? 今日も休みでよかった。 こんなんで会社に行けねーよ。 明日も腫れてたらどーすんだ? 二人でマスクか。ウケる。 はぁ、今日ものんびり『お家におこもり』か。 掃除、洗濯、片付け…やることはたくさんあるからな。 俺は希の頭をわしゃわしゃと撫でて、二度寝を決め込んで目を瞑った。 …いい匂い…お腹空いた… 目を覚まして鼻をヒクヒクさせる。 手を伸ばして横を探っても、希はいない。 もぞもぞと起き出して、キッチンに行くと、希が昨日の鍋の残りで、俺のリクエストの雑炊を作っていた。 「希…サンキュー。作ってくれてたのか。」 「うん、夕べ約束したからね。 それに斗真、ぐっすり眠ってたから、起こすのかわいそうで。」 「そっか、ありがとう。 お腹空いた…早く食べたい!」 「もうできるから、そこで待ってて。 腰は?もういいの?」 「うん、今回は痛かった割には回復が早かったよ。大丈夫。」 「よかった。あのままだとどうしようかと思ってたんだ。 今日病院に連れて行くか…って考えたんだよ 「それは大袈裟だ。無理さえしなけりゃ動けるからさ。 それより、早くついでくれよ!」 はいはいと、希が笑いながらよそってくれる。 美味そうな匂いに腹の虫も盛大に鳴いていた。

ともだちにシェアしよう!