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第509話

「希は…ズルい。」 吐息とともに零れ落ちた言葉。 「え…俺、何も騙してないし変なことしてないぞ? …どういうこと?」 「…俺を…俺をこんなに夢中にさせやがって。 一生責任取ってくれ。」 希は目を更に見開いて一瞬固まったが、すぐにイケメンが崩壊するほど破顔して 「…斗真…そんなかわいいこと言うと…襲うぞ…」 ひくっ 「ばっ、ばかっ! 無理だっ!無理無理っ!それはパスっ!」 「あははっ!冗談だよ、冗談。 すぐにでも押し倒したいけど、流石にそれは斗真に負担が掛かるからな… せめて…抱きしめてもいいか?」 「そういうとこもズルいんだって…答えを俺に委ねるってどうなの? こんな時は…何も言わずに抱きしめろよっ。」 言い終わるか終わらないうちに、すっぽりと希の腕の中にいた。 いい匂い…温かい… 俺が一番安心できて俺らしくいられる場所… 思わず胸に擦り付いた。 希は俺をぎゅっと抱きしめると、愛おしそうに髪を撫でる。 指先から、俺を思う気持ちが伝わる。 どれだけくっ付いても抱きしめ合っても、希が足りない。 「…こんなに側にいるのに…希が足りないよ… 俺、頭がおかしくなってしまったのかな… 希…もっと強く…抱いてくれ…お前をもっと感じさせろ。」 はあっ とため息をついた希は、俺の顎をくいっと持ち上げ 「ちっ…無自覚に煽りやがって… 斗真…お前、自分が今、どんな顔してるかわかってんの? 最高にエロい顔してんだぞ!? …これで『襲うな』って方が無理なんだけど… これでも我慢しなきゃいけないのかよ…」 「…ごめん…」 「…そうだ!スローにしよう、スローに! あれならお前に負担が掛からない…と思う。 もう、我慢できない!抱かせろ!」

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