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第510話

希は、本当に『ポイポイ』っという擬音語が聞こえそうな勢いで俺の服を脱がせて放り投げ、自分の服も物の見事に放り投げ、真っ裸になった。 そして俺を抱え、寝室へ連れ込むとベッドにそっと下ろした。 思い出した。 『スロー』って『スローセックス』じゃん! 激しい交わりじゃなくて、長時間愛撫し合って、心も身体もじっくりと高め合って、挿入したら絶頂感が半端なく続いて、クセになりそうな… それをしようと言うのか?今から? ちょっと待てよ。 俺、気持ちも身体もまだ、準備できてない。 その気になって俺の身体を撫で始めた希に待ったをかける。 「…希、待って…」 希は「ん…」と言いながらも、俺の首筋や喉元をゆっくりと撫でる。 それだけで気持ち良くて、希のリードに流されそうになるが、もう一度言う。 「希、待って!」 手を止めた希は、怪訝そうな顔をしていた。 「斗真?何?嫌なの?」 「嫌と言うか…俺、まだ心も身体も準備が整ってない。 …ちょっとだけ待っててくれるか?」 「…わかった。待ってる。」 「いい子だ。すぐに戻るから。」 そう言い残し、お利口に大人しくなった希の頭を撫でてやり、寝室を後にした。 決まってるだろ。 シャワー浴びに行くんだよ! ヤってからそのままで、トイレにも行ってるし、綺麗にしなきゃ嫌なんだよ! 男のオトメゴコロ、わかってくれよ。 …俺のこと、全部理解してるんだろ? 好きなもの嫌いなもの、苦手なこと得意なこと お気に入りの音楽、得意料理、笑いのツボ 好きなフレグランス、大好きなスイーツ …触って感じるところ、気持ちイイ角度… 俺の知らないことまで、全部、全部…

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