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第511話

隅々まで綺麗にすると、濡れた髪を乾かし、お預けを食らった大型駄犬の元へ戻っていく。 布団を腰までずらし片肘をついて待っていた希は、俺を見るや否や布団を捲り上げ、ぱしぱしとシーツを叩いて『ここに来い』と催促する。 しっとりと湿った肌に、乾いた希の肌が絡み付く。 「斗真、イイ匂い。」 くんくんと耳の裏や脇の下を嗅ぎまくる。 「擽ったいよ、バーカ。」 鼻をつまんで移動させると、むくれながらもじゃれついてくる。 お前は犬か。 「お待たせ。」 「待ちくたびれたよ。斗真…」 すりすりと俺を撫で続ける希。 その大きな手が触れる部分が心地イイ。 「斗真、その顔、反則。」 自分がどんな顔してるのかなんてわからない。 「何、反則って?」 「色っぽい、俺を誘う顔。スローじゃなくなる。 ヤバい。」 それは俺の方がヤバい! 「じゃ、じゃあさ、何か話しながら…な?」 「何話すんだよ。」 「何でもいいよ!このまま黙って触られてたら変な気になっちまう。 これ以上腰やられたら、俺歩けなくなるよ。」 「確かに…斗真に触ってるだけで、コレだもんな。」 指差す方を見ると、既に大きくお育ちになってらっしゃる希自身。 はぁっ とため息をついて揶揄う。 「ご立派なことで。」 「斗真限定だもん。仕方ないじゃん。」 「それもそうだな。俺以外にこんなになったら、ちょん切ってやるけど。」 希が両手でソレを押さえて 「斗真以外にそんなことする訳ないだろ!? 『ちょん切る』なんて物騒な… 斗真、意外とヤキモチ焼きなのか?」 「うーん…そうかもしれないな。 希限定で。」 希が片手で顔を押さえて上を向いた。 どっ、どうした!?

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